光のもとでⅠ

14

「翠葉、動いたらだめだよ。動いたら刺さるからね?」
 今は手芸部にて衣装合わせ中。
 動いたら刺さるのはマチ針。
「んー……予想よりも細かった。ここ、もっと詰めないとダメかな」
「すみません……」
「だーいじょーぶっ! 翠葉の衣装はすごくシンプルなデザインだから、お直しするのも楽なのよ」
 そう言って、手首に固定されている針山からマチ針を取っては脇の部分をつまんで印としてマチ針を刺す。
 私の衣装は生成りの生地でできたキャミソールワンピースみたいなもの。
 ファスナーなどはついておらず、上からかぶっても着られるし、下からはくようにしても着られる。
 要はウエスト部分がシェイプされておらず、胸もとからたっぷりとした生地が足首よりも少し上あたりまでふんわりと落ちる、体の線が強調されないワンピースなのだ。
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