光のもとでⅠ
 ノートパソコンのディスプレイを見ながら話していたこともあり、ツカサが戻ってきたことには気づきもしなかった。
 もっとも、今は人の出入りが激しいこともあり、図書室のドアは開きっぱなしになっているため、出入り口への注意は完全に欠けていた。
「その案なら、このあとどれだけ金額に動きがあってもすべてそこで帳尻を合わせることが可能。いっそのこと、パンプキンスープを有料にして売り上げは学校への寄付として献納すれば、全体評価がプラスに加算されるだろ。もしくは、ジャックオーランタンコンテストの入賞者に景品を用意することも可能。すぐに起案書作成。材料費の目処だけは必要になるだろうから厨房の責任者に話通して」
「はいっ!」
「翠じゃなくて優太」
 え……?
「翠は休憩の時間」
 声音は変わらないけれど、目が早く隣の部屋へ行けと言っている。
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