光のもとでⅠ
「……はい」
 なんともいえない気分で席を立つと、
「翠葉ちゃん、俺もこれから歌合せ」
 と、優太先輩がにこりと笑った。そしてすぐにツカサへ向き直る。
「厨房の猪狩(いかり)さんとの打ち合わせは司が行ってよ。それが終わってから起案書作成」
「俺はこれから実行委員との打ち合わせが入ってるから三十分は――」
「知ってる」
 優太先輩はにこりと笑んだ。
「俺は一時間合わせだから、司のほうが早くにフリーになるだろ? だから、司が猪狩さんのとこに行って打ち合わせしてきてよ。で、戻ってきてから起案書作れば? その頃には俺も戻ってくるし翠葉ちゃんの休憩時間も終わるよね?」
「……わかった。その代わり、翠はきっちり一時間休むこと。そしたら起案書は翠に任せる」
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