光のもとでⅠ
 ラベンダーの香りが鼻腔も心もくすぐって、もとの木阿弥。
 お茶を口に含むと、さらに顔の筋肉が緩む。
「本当に嬉しそうだね」
「はい」
 即答してしまって恥ずかしくなる。
 何分、今目の前にいる人は自分よりも九つも年上で大人の人だから。
 どうして今日に限ってこんなにも年の差を意識しているのだろうか、と不思議に思ってしまう。
 嬉しい気持ちが抑えられなくて、子どもの自分に拍車をかけて幼さなく感じるからだろうか……?
 はっと気づくと、秋斗さんが頬杖をつきこちらをじっと見ていた。
 今、自分はどんな顔をしていただろう?
< 4,672 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop