光のもとでⅠ
 もう解決したはずのことで、これからは前を向いて自分が努力するだけだとわかっているのに、記憶に残る痛みが痛くて仕方なかった。
 あのとき、ツカサが来てくれなかったら私はどうなっていたのだろう。
 海斗くんや桃華さんが来てくれなかったら――。
 心の中で浮き沈みするそれらを話すうちに、少しずつ落ち着きを取り戻した。
「私の心はまだ柔軟性には欠けていて、でも、大好きだから……みんなに大好きって伝えたいから、ひとつだけがんばることを決めたんです」
 気づけば握りしめていた白衣を放す。
 私の握力でしわになってしまった白い布を見ていると、
「ひとつ?」
「はい……。全然自信はないけれど、でも伝わったら嬉しいな……。みんなにちゃんと伝えたい」
< 4,680 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop