光のもとでⅠ
「良かった……」
 ツカサはすぐそこにいるけれど、私の手はとんぼ玉を探しに行く。
 指先にひんやりとした感触を得ると、次のものを探し始める。
 それは携帯。
 別に今すぐ必要なわけじゃない。
 でも、傍らにないと少し落ち着かない。
 入院中に身についてしまった依存症――。
「次は何……」
 思い切り呆れたふうのツカサに携帯がないと言うと、ソファの手すり近くにいた秋斗さんが教えてくれる。
「携帯はダイニングテーブルの上」
 どうやら、私はお茶を飲んだときに携帯をテーブルに置いたようだった。
 ダイニングテーブルを振り返ってさっきの出来事がよみがえる。
「わ――」
 思い切り赤面している自覚があるだけに、恥ずかしくて隠れたい衝動に駆られる。
< 4,696 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop