光のもとでⅠ
 それなら、後者は私――?
「――いや、なんでもないよ」
 秋斗さんはそう言いなおしたけれど、胸が少しちくりと痛んだのはどうしてだろう……。
「ほら、仕事に戻った戻った」
 この部屋から急かされるようにして出たことはなかったと思う。
 でも、今は間違いなく出ていくように促された。
 実際、もう時間は六時四十分だし、起案書を作らなくちゃいけないし、早く仕事に戻らなくちゃいけなかったんだけど……。
 あまりにもいつもと違う感じがして違和感を覚えた。
 言われたことの意味もまだきちんと把握できていない。
 それを考えようとしたら、
「翠葉ちゃん、おかえり! 資料揃ってるよ」
 優太先輩に声をかけられる。
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