光のもとでⅠ
 私が答えようとすると、
「リィがいつもお世話になってるのかな? 兄の唯芹です」
 私は何も考えず、そのまま「唯兄」と口にしていただろう。
 その前にも、海斗くんに「唯兄が来てくれてる」と話していた。
 なんて迂闊だったんだろう……。
 唯兄が戸籍上で正式な家族に加わったとき、「唯芹」の由来はすぐにわかった。
 けど、そのほかにも深い意味があったことはしばらく知らないままだった。
 サザナミくんは、「イゼリ?」と首を傾げては、
「あ、自己紹介が遅れました。御園生さんと生徒会で一緒の漣千里です」
 と、礼儀正しく挨拶をする。
 普段のサザナミくんからすると、かなりかしこまった挨拶だった。
 でも、その雰囲気は私を振り返るとすぐに変わる。
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