光のもとでⅠ
 最近はちょこちょこと出かけることがあるみたいだけれど、土日は意外とゆっくりしていて、平日のほうが忙しそうだ。
 学校の勤務時間が終わると出かけることが多く、それもあって私は秋斗さんの仕事部屋で休ませてもらっているのだけれど……。
 なんとなくの予想――もしかしたら結婚式の準備が忙しいのかな、と。
 夏休みに聞いたそれは秘密秘密の内緒話。
 だから、何も訊かないし知らないふり。
「リィ、何笑ってんの?」
 運転席から唯兄に訊かれ、「内緒」と答えるのがなんだか嬉しかった。

 湊先生や栞さんが病院へ連れていってくれるときは学園を突っ切って私道を通るルートだけれど、唯兄はきちんと藤山をぐるりと回る公道を走った。
「学園に入るための資格は持ってるし、秋斗さんから私道を走る許可も得てはいるんだけど、やっぱり公道って場所で慣れないとでしょ!」
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