光のもとでⅠ
 どちらにせよ、藤山の周りを走っても、市街へつながる道の入り口が込んでいなければ十分ほどで着いてしまう距離なのだ。
 その車の中で、
「この道を自分が運転して病院へ行くことになるとはねぇ……。いやはや、感慨深い」
 唯兄はニヒヒと笑っている。
 つらそうには見えないけれど――今もつらいのだろうか……。
 訊きたくてもそう簡単には訊くことができない内容。
「……リィ、つらくないよ。病院へリィを連れて行けるようになったのはステップアップでしょ?」
「……どうして?」
「ん?」
「どうして考えてることわかっちゃったのかなっ!?」
「だってわかりやすいもん」
 唯兄はケタケタと笑って首を傾げて見せた。
 それではっとして、自分の頭をもとの位置に戻す。
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