光のもとでⅠ
「いろんな意味で前進してると思うよ。年下の女の子を避けなくても平気になったし、あの病院にも行けるようになった。夏休み中はできなかったけど、今は車の運転をしてリィを病院へ連れていってあげられる。何ひとつマイナスなことはない」
 そう言うと、サイドブレーキを下ろして車を発進させる。
「人ってさ、何かきっかけがあれば一歩踏み出すことができる生き物なんだと思うんだよね」
 その言葉にドキリとする。
 先日のスカイプであれこれ話を聞いてもらったから――だから、この一言なのかな、と。
 追随するように、昨日の秋斗さんの言葉を思いだす。
 ――「できることをやらないでいるのと、上限以上のことを無理してがんばりすぎちゃうの」。
 秋斗さんは前者をツカサに言ったとわかるような言葉をあとに続けた。
 ということは、後者は私に向けられた言葉だったのだろうか。
 ――「上限以上のことを無理してがんばりすぎちゃうの」。
 その言葉は今の私を動揺させるのには十分すぎる言葉だった。
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