光のもとでⅠ
 気にしていなかったから言われるまで気づかなかった。
「ここで治療を続けるのも意外とリスクがあるってこったな。ま、スイハが気にすることじゃねぇ。んなもん、気にしなくちゃなんねぇ人間たちがどうにかするさ」
 ケケケ、と笑っては夏休みに過ごした病室へ移動する。
 気づかないところで人に守られている。
 そして、気づかないことで私はお礼も言っていないのだ。
 それが警備員さんたちのお仕事でも、お礼を言いたいと思うのはおかしいことかな……。
 お礼を言われた人は困っちゃうかな……。
 あとで唯兄に訊いてみよう。

 病室は自然光で十分な明るさだった。
 まだ午前だけどとても明るい。
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