光のもとでⅠ
 私はその言葉に頷くことも返事をすることもできずにいた。
 けど、無言は肯定と見なされてしまい、先生はそれをゴミ箱に放り投げた。
「っ……!?」
 あれがないと一日動いていられないのに――。
「ずいぶんと名残惜しそうだな?」
 だって――。
「言いたいことがあるなら口にしろ」
「――だってっっっ、あれがないと一日動けないっっっ」
 テスト明けの火曜日、午後から紅葉祭の準備に取り掛かったけれど、夜にはご飯が食べられないほどに疲れていた。
 翌朝、キッチンに入ったときに目についたものがある。
 瓶に滋養強壮剤の文字を見つけ、初めて一錠持ち出した。
 夕方、極度の疲労感が襲ってきたときに飲んだら、身体がポカポカしてきてなんとなくそのあとも動けた。
 少なくとも、前日よりは楽だった。
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