光のもとでⅠ
「たまにならいいんだ。どうしても動きたい衝動を抑えられないとき、何か予定があってその日だけっていうなら。そういうときになら滋養強壮剤を許可する。だが、連日は許可できない」
 先生が息を吸い込む音まで聞こえた。
「前後のスケジュールをしっかり管理して、的を絞った部分に使うのならかまわない。もし、突発的に使うことになったのなら、そのあとには必ず休息を取ることが前提だ」
「そんなの、今と変わらない。何も、変わらない……」
 顔を上げ、真上にある先生の目を見る。
「今のままじゃ何も変わらない。……周りが変わるんじゃない。おまえが変われ」
 私が、変わる……?
「おまえの意識を少しずつ変えるんだ。最初に言ったろ? ひとつ何かを得たならそれに満足しろって。十分すぎるほど満足して堪能しろ。時間をかけて、なるべく長い時間そのことに満足できるようになれ。その時間が休息になる」
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