光のもとでⅠ
「だから、俺も躊躇せずに今日おまえを呼び出せた」
 私はまた知らないところで守られていた。
 今度は心と身体と両方……。
 どうして私は気づけないのかな。
 どうしていつも自分のことでいっぱいいっぱいなんだろう。
「先生……先生、ごめんなさい。――ごめんなさい……」
「……おまえの気持ちの代理はしてやれねぇし、その身体の代わりにもなってやれない。だから、おまえにはおまえを大事にしてもらいたい。その術を身につけてほしい。治療のほかに俺はそんな手伝いしかしてやれねぇ」
 頭をワシワシとされ、白衣の袖でぐい、と涙を拭われた。
「おら、そこにいるバカ二号、とっとと入ってきやがれ」
 先生が少し大きな声で入り口へ向かって声を発すると、足音も立てずに唯兄が入ってきた。
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