光のもとでⅠ
 そこへ、
「若槻、ちょっと付き合えよ」
 秋斗さんが少し荒っぽい口調で廊下から声を発した。
「……マジでっ!?」
 どこか引き気味の若槻さん。
「若槻さん?」
「唯?」
「あはは……いや、なんでもない。うん、なんでもないから。なんでもないようにしてくる……」
 と、わけのわからないことを口走って立ち上がる。
「えっ!? 秋斗くんと若槻くん、夕飯は? みんないるっていうからたくさん買ってきたのよっ!?」
 栞さんが抗議すると、
「すんません、俺と秋斗さんの分却下で……。本当にごめんなさい」
 ペコリ、と頭を下げて若槻さんは出ていった。
「……やっぱり怒ってるから、だよね」
「たぶんな」
 私と蒼兄の会話に、
「何があったの?」
 栞さんに尋ねられたけど、もう何も話せなかった。
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