光のもとでⅠ
「これ、湊さんから」
 差し出されたのは睡眠薬だった。
「とりあえず寝ろってことらしいよ」
 薬と一緒に二倍に希釈されたポカリを渡される。
 拒否権はない。
「俺はちょっとプレゼントを作りに出かけてくるから、帰ってくるまではいい子で寝てるんだよ?」
 そう言ってきれいにウィンクする。
 唯兄の手には黒い小さなノートパソコン。
 いつも愛用しているのはシルバーと白いのだったはずだけれど……。
「いい子にしてないとプレゼントあげないからね?」
 唯兄は念まで押して出ていった。
 唯兄……私が今欲しいものはね、鋼みたいな身体。
 でも、それは現実的じゃないから、柔軟な心が欲しい。
 どんなことにもしなやかに対応できる心が欲しい。
< 4,786 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop