光のもとでⅠ
 じゃぁ、秋斗さんがほかの女の子を抱っこしたら?
 でも、秋斗さんは誰にでも優しいし……。きっと、具合の悪い女の子が校内にいたら普通にそういう行動を取りそう。
 ……あれ?
 それはつまり、私はまったく特別待遇なんて受けていなくて、秋斗さんにとっては普通のことをされているだけなのかな?
 彼女とかそういうことではなくて……。
 だとしたら、普通にしていることに過剰反応しているのは私なんだろうか――。
 でも、私にとっては全然普通のことじゃなくて、はるかにキャパシティを超えることで……。
 それでも……自分が普通だと思ってしていることを拒絶されたらショックなのかもしれない。だから、「慣れて」って言われるのかな。
 でも、やっぱり――そんな簡単に慣れるなんてできないし、そのたびに秋斗さんに怒られたらつらいし……。
 怒るということは不快に思うということと同義だと思えば、私がそんな態度を取るたびに不快な思いをさせるのは申し訳ないし……。
 一緒にいる意味、あるのかな――。
 ただ側にいられて、普通に笑って話せるだけ。それだけで私は幸せだけど、秋斗さんは違うんだ……。
 "価値観"と少し似ているかもしれない。
 私の好きと秋斗さんの好きは別物――。
 そんな気がしてきた……。
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