光のもとでⅠ
 栞さんは面食らっていたけれど、ここで暮らすにあたりそんな割り振りが自然とできてきていた。
 でも、栞さんはそんなことでは引き下がらない。
「じゃ、せめて掃除くらいさせてほしいんだけど」
 有無を言わさない笑顔を向けられる。
 私と唯兄は顔を見合わせ、ふたり揃って肩を竦めた。
「「お願いします」」
「任せてちょうだいっ!」
 私は薬を飲んだらまた自室へ戻る。
 時計を見たら九時を回っていたから相馬先生に電話をすることにした。
 携帯を手に取り、相馬先生に直通でつながる番号を呼び出す。
『おう、スイハ。どうした? 駄々をこねても今日は学校行かせる気はねぇぞ? 感謝と文句なら受け付けてやる』
 相変わらずの調子だ。
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