光のもとでⅠ
「ゆっくり吸って、吐いて、吸って、吐いて……」
 胸が終われば背中。そして横になって腹部。
 そのあと、臥位、座位、立位、と体勢を変えて血圧を測り、身体中のリンパ腺のチェック、貧血、脱水症状のチェック、反射のチェックを受けて診察が終了する。
「良くはない。でも、今までにもあった心臓のクリック音以外に心雑音はなし。少し安静にしていれば、そのうち脈も落ち着くでしょう」
 その言葉にほっとする。
「翠葉も知っているように、心臓に働きかける薬は二種類出してる。ひとつは立ちくらみを防いだり心臓を動かすためのもの。もうひとつは頻脈を落ち着けるために、心臓を休ませる薬。ふたつは正反対の作用をする。今はこれを上手に使うしかない。あとは、相馬の鍼とカイロの施術でどこまで体内バランス、自律神経を整えられるか」
 私の弁膜は人よりも薄いらしい。
 だから、血液を繰り出す力が弱くて血圧も低い。
 それに加えて起立性障害もある。
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