光のもとでⅠ
 これらを防ぐために飲む薬は心臓を刺激するタイプのものだ。
 普段はそれでいいけれど、今は身体に負担をかけてしまったこともあり、頻脈発作が頻繁に起きている。
 昨夜もそれで夜中に目が覚めた。
 滋養強壮剤を飲むのをやめても、この症状はしばらく続くのだとか……。
 それを抑えるためには心臓を休ませるための薬を飲まなくてはいけない。
 すると、必然的に血圧も下がる。
 相反するふたつの薬をそのときの自分の身体の症状に合わせて飲み分けたり追加したり――それはもともとやっていたことだけれど、今は自業自得。
 自分が招いた結果なのだ。
「湊先生、ごめんなさい」
「もういいわよ。これで許すっ」
 先生の手が近づいてくると、額に軽くデコピンを受けた。
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