光のもとでⅠ
「でも、自分の身体をもう少し大切に扱ってやりなさい。はい、診察終了。ほらほら、さっさと帰って自宅で休む」
 カーテンを出ると、栞さんが湊先生にカップを差し出した。
「湊、いつもより少し甘めのローズヒップティー作ったから飲んでね」
 耐熱ガラスであろうスタイリッシュなカップに赤い液体が入っており、湯気がゆらゆらと立ち上っていた。
「さ、翠葉ちゃん、長居は無用よ。帰りましょう」
 私は栞さんに背を押されて保健室をあとにした。

 ゲストルームに帰ると、唯兄が笑顔で出迎えてくれた。
「安心できた?」
 私は苦笑しつつ、「うん」と答えた。
 苦笑の理由は自業自得だから。
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