光のもとでⅠ
 私は相変わらずポカリスエット二杯希釈を命じられている。
 さっきのティータイムもひとりポカリスエットだった。
「これ、どこのお茶?」
「いつもネットで購入しているお茶。このあたりには実店舗がないの」
 お店の名前やサイトのURLを一通り教えたけれど、
「飲みたくなったら飲みに来て? そしたら私が淹れる。いつもたくさん助けてくれるから、何かいつでもできるお礼を持っておきたい」
 ツカサは一際驚いた顔をした。
「どうして? なんでそんなに驚いた顔をするの?」
「……いや、別に。でも、夜飲みたくなることもあるし……」
「今も夜だけど?」
「…………」
 どうして無言……?
「やっぱり九階と十階でも行き来するのは面倒?」
 尋ねると、深くため息をつかれる。
「……とりあえず、飲みたくなったら飲みに来る。でも、夜遅くはよくないと思うから。それに、こっちに帰ってくるのはテスト期間やこういうときだけ」
「あ、そっか……そうだよね」
「家に帰ったらオーダーする」
「あ、それならちょっと待って?」
 私はデスクの引き出しに入れてあるものを取り出した。
「私ね、ストック魔なの。これだけは在庫がいくつかないと落ち着かないから、常にストックはあるの」
 ふたつの箱を取り出しテーブルに並べて置く。
「ツカサはグッドナイトハーブも好きだけど、モーニングハーブも好きよね? ……どうしようかな、なんのお礼にしよう」
 少し悩んで出した答え。
「入院している間、ほぼ毎日お見舞いに来てくれてありがとう、のお礼」
 私はふたつの箱をツカサに向かって差し出した。
「あ、でも、夜飲みたくなったときと藤山に帰ったときだけだよ? それ以外は飲みに来てね?」
 ツカサは苦笑を浮かべる。
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