光のもとでⅠ
クローゼットに入ると彼女と森林浴へ出かけたときに着ていたジャケットが目に入った。
手は自然とそれに伸びる。
一瞬、黒のジャケットにも視線は移ったものの、その案は却下。中に着るものを黒いシャツにするに留めた。
人に会うために着るものを選ぶなんて、今まで意識したことはなかったかもしれない。
「本当に色んな気持ちを教えてくれる……」
振られるためのお洒落ってなんだろうな。
どこか自嘲気味な笑みを浮かべ、それらに着替えるとリビングでノートパソコンを開いた。
一番に目にするのは彼女のバイタル。
微々たる知識しかない俺にですら、いいものとは思えない数字が並ぶ。
今日、連れ出して大丈夫なんだろうか……。
いや、無理ならば湊ちゃんから連絡が来るはずだ……。
連絡がないということは大丈夫なのだろう。
十二時を回ると、彼女の体温が少しずつ上がり始めた。
「発熱……?」
けれども三十六度五分をキープするに留まる。
携帯が鳴る気配はない。
「気にしすぎ、かな……」
湊ちゃんがついているわけだから、何か薬を服用したのかもしれない。
湊ちゃんが何も策を練らずに彼女を放り出すとは思えない。
「……さてと、行くか」
手は自然とそれに伸びる。
一瞬、黒のジャケットにも視線は移ったものの、その案は却下。中に着るものを黒いシャツにするに留めた。
人に会うために着るものを選ぶなんて、今まで意識したことはなかったかもしれない。
「本当に色んな気持ちを教えてくれる……」
振られるためのお洒落ってなんだろうな。
どこか自嘲気味な笑みを浮かべ、それらに着替えるとリビングでノートパソコンを開いた。
一番に目にするのは彼女のバイタル。
微々たる知識しかない俺にですら、いいものとは思えない数字が並ぶ。
今日、連れ出して大丈夫なんだろうか……。
いや、無理ならば湊ちゃんから連絡が来るはずだ……。
連絡がないということは大丈夫なのだろう。
十二時を回ると、彼女の体温が少しずつ上がり始めた。
「発熱……?」
けれども三十六度五分をキープするに留まる。
携帯が鳴る気配はない。
「気にしすぎ、かな……」
湊ちゃんがついているわけだから、何か薬を服用したのかもしれない。
湊ちゃんが何も策を練らずに彼女を放り出すとは思えない。
「……さてと、行くか」