光のもとでⅠ
 お礼を言われるようなことじゃない。
 今話してくれたことに対して私が「ありがとう」を言いたいくらいなのに。
 そんな間もなく背中を押された。
「ほら、行っといで!」
 私と蒼兄は栞さんと唯兄に送り出されて玄関を出た。

 最近の唯兄は、遅くてもきちんと夜に寝ていて、朝もきちんと起きて三人で揃って朝食を食べることが多い。
 飛び込みの仕事が入ったときだけ、「明日の朝はごめん!」と夜のうちに断りを入れる。
 エレベーターに乗ると、
「唯の言葉は耳に痛いな」
 蒼兄が苦笑を見せた。
「俺も生活改めなくちゃダメかな?」
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