光のもとでⅠ
「……その割にはすっきりした顔してるのね?」
「え……?」
「前ならもっとつらそうな顔をしたと思うんだけど……」
 日本人形みたいな顔を傾げると、艶やかな黒髪がさらりと動いた。
 芯があってしなやか。 
 その様はまるで桃華さんそのもの。
「うん、意外とすっきりしてるかもしれない」
 それはやれるところまでやらせてもらったから。
 ギリギリのところまで待ってもらえたから。
 そのうえ、そこでお終いではなかった。
 ツカサと唯兄がその先を作ってくれた。
「不完全燃焼は不完全燃焼なんだけど、ここまで無理したこと自体が初めてかもしれないの。それも、先生や家族、みんなわかっていて倒れるギリギリまで待ってくれた。たくさん心配かけちゃったことは本当に申し訳ないのだけれど、それがものすごく嬉しかったのかな……。納得できないことはたくさんある。でも、不満だけじゃなくて、今回こんな行動に出たからわかったこともたくさんあって……」
 桃華さんは何も言わずに耳を傾けてくれていた。
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