光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん、おいで」
少しも動かない彼女に再度声をかける。「おいで」と。
彼女の手に少し力が入る。そして、ゆっくりと一歩一歩歩き始めた。
相変らず視線は足元に落としたまま。歩く動作で柔らかいウェーブがふわりふわりと動く。
そう、今日の彼女はロングストレートのきれいな髪を見事なまでにウェーブさせていた。
荷物を運び込み、エレベーターのドアを開けて待っていると、彼女は少し戸惑いながらエレベーターに乗り込んだ。
「ごめんね。ただ、少しびっくりしただけなんだ。……見違えるほどきれい」
そうは言うも、彼女を正視できずに壁のほうへ視線を移す。
彼女から注がれる視線が痛い……。
俺、どうしようもないな……。
これは俺が彼女に何度も言われていた言葉だ。
このまじまじと自分を見る視線がこんなにも痛いものだとは思いもしなかった。
「本当に、勘弁して……」
俺は完全に壁側を向いた。
翠葉ちゃん、ごめん――。
俺、今こういう気持ちを知ったよ。
これは本当にきつい……。
少しも動かない彼女に再度声をかける。「おいで」と。
彼女の手に少し力が入る。そして、ゆっくりと一歩一歩歩き始めた。
相変らず視線は足元に落としたまま。歩く動作で柔らかいウェーブがふわりふわりと動く。
そう、今日の彼女はロングストレートのきれいな髪を見事なまでにウェーブさせていた。
荷物を運び込み、エレベーターのドアを開けて待っていると、彼女は少し戸惑いながらエレベーターに乗り込んだ。
「ごめんね。ただ、少しびっくりしただけなんだ。……見違えるほどきれい」
そうは言うも、彼女を正視できずに壁のほうへ視線を移す。
彼女から注がれる視線が痛い……。
俺、どうしようもないな……。
これは俺が彼女に何度も言われていた言葉だ。
このまじまじと自分を見る視線がこんなにも痛いものだとは思いもしなかった。
「本当に、勘弁して……」
俺は完全に壁側を向いた。
翠葉ちゃん、ごめん――。
俺、今こういう気持ちを知ったよ。
これは本当にきつい……。