光のもとでⅠ
 いつもに輪をかけて仏頂面するツカサを見て、思わず笑いを堪えることができなくなる。
 そんな私を見て、ツカサは怪訝そうな顔をするけど、でもね……。
 こうやってひとつひとつ手探りでもツカサのことを知ることができるのはとても嬉しいことなんだよ。
 人のことを知ることができるのは嬉しい。
 あ、違うかな……。
 大切な人のことを知ることができるのが嬉しいのかな。
 桃華さんや栞さんが「嬉しい」と言ってくれたのは、こういう気持ちだったのかな。



 お母さんが帰ってきてから、私が朝キッチンに立つことはなくなった。
 今はお母さんと唯兄が一緒に朝食やお弁当の用意をしてくれる。
「私がやるからいいわよ」というお母さんに、「じゃ、一緒にやろうよ」と言ったのは唯兄だった。
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