光のもとでⅠ
「再申請で上がってくる費用の割り振りと、リトルバンクと収支報告の照らし合わせ作業。このふたつだけでもかなりのボリュームだ。香月さんが知っている中等部の体育祭なんて比にならない。それに加えて、超過申請になっている使途不明金の割り出し作業やそれに代わる充当先。翠はそれらすべてをひとりでこなしている。もし、香月さんがこれだけの仕事を軽々とクリアできるだけの器量があるなら今すぐにでも生徒会に引っ張ろう」
 そこまで言うと、ツカサの表情から笑みが消えた。
「それができないなら、『特別扱い』なんて言葉は口が裂けても言えないはずだ」
 ツカサは意地悪だ……。
 何も、こんなふうに人を追い詰めるような言い方をしなくてもいいのに……。
 それが私のためであることもわかってる。
 こうやって守られていることもわかってる。
 でも――。
< 4,898 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop