光のもとでⅠ
「ツカサ、確かに仕事の分量でいうなら特別扱いはされてないと思う。でも、学校ではない場所でその作業をさせてもらえるのは特別扱いだと思う。
 きっと、香月さんと呼ばれた人はそこが一番引っかかっているのではないだろうか。
「翠、今回のこれは特別扱いじゃない。特例措置だ」
「代わらない、特別扱いも特例措置も。『特別』って意味がある時点で何も変わらない。ツカサこそ類語辞典引いたらっ!? 措置は扱いと処理と同義語だよ」
 すぐ隣にいるツカサを見上げると、冷ややかな目で見下ろされた。
 それに負けまいと視線をぶつけ続ける。
 少しの沈黙のあと、ツカサの携帯が鳴りだした。
「はい。――遅くなりましたが見つけました。今すぐこのバカを届けるので、とっとと連れて帰ってください」
「バカって私のことっ!?」
「それ以外に誰が?」
 真顔で言われた。
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