光のもとでⅠ
 あとに残された香月さんを気にしつつ、そのまま引き摺られるようにして廊下を歩いた。
 一二年棟の一階は保健室と昇降口が占めていることから、生徒が使う教室はない。
 同じ教科の先生が共同で使う教員室がいくつかある程度。
「ツカサ、守ってくれるのは嬉しい。でも、ああいうのは嬉しくない」
 早足で歩いていたツカサが急に止まるから、私は問答無用でツカサに激突した。
「守ったつもりはない。言っただろ。『特別』と『特例』は別物だって。それより――翠は思っていたよりも責任感がないんだな」
「え……?」
「一度引き受けたものは最後までやる性質かと思っていたけど、どうやら俺の買いかぶりだったらしい。俺は確認したはずだけど?」
 何を……?
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