光のもとでⅠ
01~03 Side Akito 02話
庵は大きなものではない。中のスペースも土間と畳のニ間が同じくらいの広さで十畳ほど。
土間の奥からは裏手にある窯へ行ける。
中に入ると土間でじーさんが土を捏ねており、戸口の脇にスーツを来た男が立っていた。
「珍しいのぉ、秋斗がここへ来るとは。なんじゃ? 結婚相手でも決まったかの?」
「や、そういうんじゃないから。ちょっと裏山に入ってもいいかな? ばーさんの散策ルートを歩きたいんだけど」
「ほぉ……秋斗がローラの散策ルートとな」
にやりと笑みを深める。
「……今、あまり深いこと突っ込まないでもらえます?」
「ふぉっふぉっふぉ、良い良い、誰か連れてきておるのじゃろ?」
「……確かに連れはいます。しかも、じーさんの陶芸ファンですよ」
「……ほ? それはあのお嬢さんかのぉ?」
と、わけのわからないことを口にする。
「ならばなおさらじゃ。早う行け。……おぉ、そこの水筒を持っていくがよい。秋斗の好きなコーヒーじゃよ」
切り株の上に置いてあったのは、赤地に深緑のタータンチェックというモダンな柄の水筒。
「……これ、持って行くともれなくこれを返しに寄る必要性が生じますよね……」
なんて侮れないじーさんなんだ。
「今日じゃなくても良いわ。じゃが、近いうちに返しにこい」
言うと、「話はそれまで」とでも言うかのように口を閉ざした。
「ありがとう。じゃ、持ってく。後日返しに来るから」
と、庵の外へ出た。
土間の奥からは裏手にある窯へ行ける。
中に入ると土間でじーさんが土を捏ねており、戸口の脇にスーツを来た男が立っていた。
「珍しいのぉ、秋斗がここへ来るとは。なんじゃ? 結婚相手でも決まったかの?」
「や、そういうんじゃないから。ちょっと裏山に入ってもいいかな? ばーさんの散策ルートを歩きたいんだけど」
「ほぉ……秋斗がローラの散策ルートとな」
にやりと笑みを深める。
「……今、あまり深いこと突っ込まないでもらえます?」
「ふぉっふぉっふぉ、良い良い、誰か連れてきておるのじゃろ?」
「……確かに連れはいます。しかも、じーさんの陶芸ファンですよ」
「……ほ? それはあのお嬢さんかのぉ?」
と、わけのわからないことを口にする。
「ならばなおさらじゃ。早う行け。……おぉ、そこの水筒を持っていくがよい。秋斗の好きなコーヒーじゃよ」
切り株の上に置いてあったのは、赤地に深緑のタータンチェックというモダンな柄の水筒。
「……これ、持って行くともれなくこれを返しに寄る必要性が生じますよね……」
なんて侮れないじーさんなんだ。
「今日じゃなくても良いわ。じゃが、近いうちに返しにこい」
言うと、「話はそれまで」とでも言うかのように口を閉ざした。
「ありがとう。じゃ、持ってく。後日返しに来るから」
と、庵の外へ出た。