光のもとでⅠ
 お母さんからお叱りの一言を受け、そうだ――と思いなおし再度食卓に向かった。
 考えるのはバスタイムでいい。
 ゆっくりバスタブに浸かれるわけではないけれど、ひとりになれる時間はとても貴重。
 今は学校でも家でもひとりになる時間はほとんどないから。
 ――あ、れ?
 私、ひとりの時間が欲しいの?
 余計に自分の気持ちがわからないことになりそうで、肉じゃがに入っている、色を添えるさやえんどうの緑で頭を満たした。
 みんなが話している内容にも夕飯にも集中できない自分が嫌になる。
 私は会話には参加せず、時折尋ねられることにだけ答え、いつもより早くにご飯を食べ終えた。
 それでも、みんなよりも食べ終わるのは遅い。
 いつもよりも三十分遅れての夕飯。
< 4,927 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop