光のもとでⅠ

40

 翌朝、起きたときから緊張は始まっていた。
 身体を起こし、ラヴィをぎゅ、っと抱きしめずにはいられないほどに緊張していた。
 でも、避けて通っちゃだめ……。
 このまま通過することは私にはできない。
 お昼休みになったら香月さんのところへ行こう――。

 蒼兄と一緒に登校し分起点で別れたあと、ひとり桜並木を昇降口に向かって歩いていた。
 紅葉祭一週間前の一昨日から、運動部の午後練はほとんどなくなった。
 その分、朝練はきっちりするらしく、校庭からはホイッスルの音や人の掛け声が聞こえてくる。
 こういう音はとても学校らしくて、今自分が学校にいることを再認識させてくれる。
 いつもならこの時間帯にはほとんど人を見かけない昇降口も、この時期はすでに生徒の行き来がある。
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