光のもとでⅠ
「……うん、そうしてみる。ここまで一緒に来てくれてありがとう」
 心からお礼を述べて、G組のドアを開いた。

「あの、香月さんいらっしゃいますか?」
「うっわっ! 姫じゃんっ!」
 声をかけた男子が大げさすぎるほどに驚いて、クラス中の視線が自分に集まる。
 こういうのは苦手だ……。
 きゅ、と目を閉じてしまった、と思う。
 ここから目を開けるのはものすごく勇気がいるからだ。
「小野田、騒ぎすぎよ」
 聞き覚えのある声がして目を開けると、目の前に香月さんがいた。
「香月さん……」
「私に用なんでしょ? ここじゃ無理でしょうから外に行くわよ」
 香月さんは私の前を通り過ぎ、昨日と同じように階段を下り始めた。
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