光のもとでⅠ
「……秋斗さん、もう一度だけ――もう一度だけチャンスをください。手、つなぎたいです」
息が止まるかと思った。が、実際に止まったのは歩みだった。
視線を自分の足元に落とし息を吸う。
落ち着け、俺――。
意を決して顔を上げ、彼女の目を見る。
「気持ちは嬉しい。でも、ここは学校じゃない。マンションは近いけど、ここに湊ちゃんが到着するまでに十五分はかかる。それに、俺以外は誰もいないし、庵にいるのもじーさんと警備の人間のみだ。何かあったとしてもすぐには対応してあげられない」
本当に……気持ちは嬉しいんだ。俺だってそうできたら、と思う。
「でも、だからです。逃げ場がなければがんばれる気がするでしょう?」
彼女の顔が歪む。
まるで、もうあとがない、というかのように。
「本当に無理はしてほしくないんだ。気持ちはわかったから……」
「……たぶん、私の気持ちは秋斗さんに全部伝わってないです」
「そうかもしれないけど……」
「お願いです……」
彼女の声が震えていた。
「……まいったな。……今日の俺には拒否権なんてあってないようなものなんだ」
「え……?」
首を傾げる彼女に思う。
翠葉ちゃん、いい加減気づこうよ。君は誰よりもきれいなのだから……。
息が止まるかと思った。が、実際に止まったのは歩みだった。
視線を自分の足元に落とし息を吸う。
落ち着け、俺――。
意を決して顔を上げ、彼女の目を見る。
「気持ちは嬉しい。でも、ここは学校じゃない。マンションは近いけど、ここに湊ちゃんが到着するまでに十五分はかかる。それに、俺以外は誰もいないし、庵にいるのもじーさんと警備の人間のみだ。何かあったとしてもすぐには対応してあげられない」
本当に……気持ちは嬉しいんだ。俺だってそうできたら、と思う。
「でも、だからです。逃げ場がなければがんばれる気がするでしょう?」
彼女の顔が歪む。
まるで、もうあとがない、というかのように。
「本当に無理はしてほしくないんだ。気持ちはわかったから……」
「……たぶん、私の気持ちは秋斗さんに全部伝わってないです」
「そうかもしれないけど……」
「お願いです……」
彼女の声が震えていた。
「……まいったな。……今日の俺には拒否権なんてあってないようなものなんだ」
「え……?」
首を傾げる彼女に思う。
翠葉ちゃん、いい加減気づこうよ。君は誰よりもきれいなのだから……。