光のもとでⅠ
「これでミスがあったら優太の責任にするけど?」
 容赦ないツカサの言葉に、優太先輩はやむを得なく作業に戻った。
 そのあとはほかのメンバーに詰め寄られ、一気に歌詞についてのアナリーゼじみた話に移行した。
 質問されることに対してうまく答えられている気はしないけど、どんな気持ちで歌っているのかはちゃんと伝えられただろうか。
 私が何か言うたびにみんなは呆れモードだったけれど、茜先輩だけがいつもと変わらない笑顔でこう言ってくれた。
「翠葉ちゃんには翠葉ちゃんのももの見方、感じ方があるもの。みんなと同じじゃなくてもいいんじゃない? ただ、気持ちをこめて――それが翠葉ちゃんの大切で大好きな人たちに伝わればそれでいいんだよ」
 その言葉は、「恋愛」という歌詞に動揺し始めた私の心をふわっと包んで落ち着けてくれた。
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