光のもとでⅠ
 今はゲストルームにいるから栞さんと一緒にご飯を食べることができるけど、幸倉に戻ったら――。
 高校を卒業したらこの生活は終わる。
 二年後、家族にはどんな変化が起きて、私はどんな道を歩いているだろう。
「翠葉、お箸も口も止っているわよ?」
 お母さんに指摘され、慌ててご飯に意識を戻す。
「どうかした? なんかしんみりとした顔をしてたけど」
 栞さんに言われて苦笑を返す。
「……ふたりがいないとなんだか寂しいなって思っただけです」
 考えていた一端を話す。
 でも、この先は訊かれたくないし話したくない。
 今はこの先のことを深く考えたくない気がした。
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