光のもとでⅠ
「……とりあえず、今日のところは解散」
 桃華がその場を仕切り始めた。
「空太の話からすると、藤宮司が翠葉の傷をつついたんでしょ。で、翠葉はまんまと人間不信大全開。うちのクラスにとっては大迷惑もいいところ。それでも……できることはひとつ。翠葉に時間が必要なら私たちは待つ。待つのはこのクラスでいいはず。私たちのホームグラウンドはここ、一年B組の教室でいいわよね?」
 周りを見回すと、みんな無言で頷いた。
「はい、じゃぁここまで。頭をしっかり切り替えてテスト勉強するように。……あぁ、わからない問題があれば翠葉に訊けばいいわ。動揺はするかもしれないけれど、すごく丁寧に教えてくれるから」

 昇降口を出ると、みんなそれぞれの方角へと散っていく。
 基本、高等部門を利用する人間は電車通学の人間か、家が学校よりも南か西にある生徒のみ。
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