光のもとでⅠ
 手に入れられるだけの力を入れていた分、かわされたときの反動は大きい。
 力の流れを司に持っていかれ、気づけば自分の背後で右手を取られる始末。
 勉強も運動も、司に勝るものなんてないけど、俺にとって友達っていうのはすごく大切なもので――それを傷つけられたら俺は黙っていられない。
「それで翠葉傷つけて泣かせてんなよなっ!? 今日、うちのクラスの人間がどれだけ心配したと思ってんだよっ」
「なら、それを翠に教えてやれば?」
 しれっと答えては俺の手を放す。
「海斗くん、ごめんなさい。空太くんもごめんなさい」
 翠葉が勢いよく頭を下げた。
 俺の後ろにいたはずの司は、気づけば翠葉の隣にいて、その頭に手を乗せる。
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