光のもとでⅠ
 司の肩を掴もうとしたら、その右手を掴まれた。
 視界に入るは白く華奢な両手。
 葵くんじゃない。空太でもない。ほかの誰でもない翠葉の手。
 その手からわずかな振動――震えてる?
 翠葉の顔を見ると、翠葉は俺を見て震えていた。
 どうしてっっっ――どうして司じゃなくて俺を怖がるっ!?
「なんでっっっ!? 今朝泣かされたんだろっ!? それで学校に来るのが怖くなって、学校に来てからもずっと泣きそうな顔してて、放課後だって強引に連れて行かれたって空太から聞いてるっ」
 怒鳴ったらもっと怖がらせる。
 わかってるけど、苛立つ――。
 何に……?
 司じゃなくて自分が恐れられていることに……?
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