光のもとでⅠ
「あのさ、翠葉の抱えてる『怖いもの』を教えてよ。俺たちは漠然としかわからないから……。言うのも怖いのかもしれないけど、そこはちょっとがんばってよ。そしたら、俺たちは司とは違う方法でフォローするから」
 翠葉の喉がゴクリ、と動く。
 すっごいムカつくけど……同じくらい司のことはすごいと思う。
 泣かせたことは許せない。でも、そのくらいの衝撃をこの翠葉に与えてしまえることがすごいと思う。
 翠葉にとってストレスが体調のネックになり得ることは知ってる。司はきっと俺以上に詳しく知ってる。
 俺はこんなふうに訊くだけでも嫌なドキドキが止らないっていうのに、司はそれ以上のことをしたんだ。
 あいつ、翠葉に言うのが怖くなったりしないのかな……。
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