光のもとでⅠ
 言ったあと、翠葉が傷つくとかそういうのとは別に、自分が嫌われる可能性とか恐れられる可能性とか、そういうの、全く考えなかったんだろうか……。
 結果、この短時間とも思える時間できっちり収拾作業まで終わらせて――。
 最初からそのつもりだったのだろうか。
 勝算はどのくらい? 自信はどのくらいあったんだろう。
 そんなことを考えていると、翠葉は少しずつ話しだした。
「ツカサは『幻影』って言ってた。確かにそのとおりで、人が違う、場所が違うってわかっているのに『学校』っていうだけで中学とシンクロしちゃうことがあるの。……海斗くんや桃華さん、飛鳥ちゃんに佐野くん、空太くんも、みんなそんな人じゃないってわかっているのに、自分が怖がっていることを知られたら、『なんだ、結局信じてもらえてないんだ』って離れていっちゃったりするのかなって、そういうこと考えると止らなくて……」
「翠葉さん……それ、激しく俺たちを侮りすぎでしょう?」
 つい、口元が引きつる。
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