光のもとでⅠ
「……まだ目ぇ充血してるし……。そんなに泣かされても『安心をくれる人』なんて言ってもらえるのが不思議でしょうがない」
 司のやつ、いったいどんな手使ったんだよ。
 さして広くもないテーブルに突っ伏したまま翠葉を見上げる。
「朝の話は聞いたし、昼に空太から掻っ攫われたときの話も聞いた。そのあとの話聞かせてくれたら機嫌直す」
 機嫌直すってなんだかなぁ……。
 俺、本当にガキだ。
「あぁ、それはぜひ俺もお聞かせ願いたい。あんなに怯えていた翠葉ちゃんをどうやって懐柔したのかが謎すぎる」
 空太もテーブルに顎を乗せた。
 普段は見下ろす位置にある頭が、今は見上げる位置にあった。
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