光のもとでⅠ
「知らない人に嫌われるよりも、知ってる人で、しかも大好きな人たちに嫌われるのは怖くない?」
 どうしてそういう思考回路になるんだか……。
 身体は起こしたものの、まだ俺の肩はしょんぼりと落ち気味だ。
 今の俺を楓くんや司が見ようものなら、「姿勢が悪い」と一喝されるに違いない。
「その『怖い』はどこから来るんだっけ……?」
 さっき聞いたはずなのに、どうにも俺には理解ができていないみたいだ。
 中学の同級生とは一緒に思われていない。それはわかったんだけどな。
「大好きだから一緒にいたくて、楽しいから一緒に行動したくて……でも、私の身体はそこまで動くことを許してはくれなくて――」
 それもわかってるよ。
「そこにね、嫌な記憶がよみがえっちゃうの」
 そう言うだけで。目尻に少し涙を滲ませた。
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