光のもとでⅠ
 あんな歌で告白させなくても、司はガンガン翠葉に気持ちを伝えてるっぽい。
 ……あぁ、この際、翠葉が気づいているかいないかは別として。
 自分からそういうことは言わないやつかなって思ってたけど、全然違った。
 もっとも、「好き」とかそんな言葉は口にしてないけれど。
 本当ならさ、この言葉だけで十分なんじゃないかな。
 ただ、相手が悪いってだけでさ……。
 ガッツリ仕掛けたつもりになっていたけど、俺たちが司にさせようとしていることは、人が作ったラブソングを歌わせるってだけで、あんな司本人の言葉に敵うわけがない。
「……俺、勝てっかな?」
 俺は少し暗くなった外へ視線を逸らした。
「……勝つって、何に?」
 翠葉さん、俺は黙秘権を行使します……。
 桃華、俺、今すばらしく自信がないんだけど。
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