光のもとでⅠ
 駐車場から緑の広場へと抜ける道――あの日と同じ場所へ向かう。
 ベンチがある場所へ近づけば近づくほど、彼女の足は前へ進まなくなる。
 どうしてかな、翠葉ちゃん……。
 俺の申し出を断るのはそれほどに苦痛なんだろう? ならば、受け入れてしまえばいいじゃないか。
 何も雅の言うことを聞く必要なんてどこにもないんだ。どうしてそれを俺にすら話してくれない?
 きっと、彼女は俺が知らないと思っているのだろう。
 現に、司から聞いたあともその話は一度もしなかった。
 本当はさ、俺は君から聞きたかったな。
 どうせなら、「どうしてこんなことを言われなくちゃいけないのっ!?」と、泣きじゃくられるほうが良かった……。
 あんなふうにハープを弾かれるくらいなら、あんなふうにしか消化できない君を目の当たりにするくらいなら――。
 話してほしかった。けれども、それを言うならどうしてあの日に限って彼女から離れてしまったのか、と自分を責めずにはいられない。
 完全に歩みを止めてしまった彼女を振り返る。
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