光のもとでⅠ
 最初は御園生さんに見せるような顔を見たいと思っていた。
 今も「警戒しないでほしい」という意味なら変わりはしないが、俺は兄妹になりたいわけじゃないんだよな……。
 翠が横になると、ものの数分で寝息が聞こえてきた。
 つないでいる左手はそのままに、サイドテーブルに置かれている携帯を手に取る。と、ディスプレイには三十七度五分と表示されていた。
 少し高い、か……。
 次に起きるときには少しでも下がっているといい。
 つながれた手をほどき、頬にかかる髪を払ってからその部屋を出た。

 今は勉強を口実に出てきた簾条と海斗の数学を見ているわけだが、
「おまえら、生徒会の癖に頭悪いな。翠なら確実に満点クリアなのに」
 大きなため息をつかざるを得ない。
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