光のもとでⅠ
 何も言わずに、ではなく、言えずに……かな。
「今の答えは翠葉ちゃんが自分で出した答え? 俺は言ったよね? 誰に相談してもかまわない。でも、最後に答えを出すのは翠葉ちゃんだって」
 真っ直ぐに彼女を見る。
 普段ならこのあたりで絶対に視線を合わせる努力をする彼女だが、今は全くこちらを見ようとしない。そして、
「自分で出した答えです。理由は……私には誰かと付き合うなんて余裕がないから――」
 やっぱり言ってはくれないか……。
「余裕がないなら頼ってくれればいいことじゃない? 俺はそれを望んでいるんだけど」
 俺はこの期に及んで悪あがきをするんだろうか。こんなにも苦しんでいる彼女を前にしても……?
「これからの私を見られたくないから……」
 ポツリと聞こえた声。それは用意してきた答えとかそういう類ではなかったと思う。
 たぶん、今ここにあるものの中で唯一の"本音"――。
「……これからの翠葉ちゃん?」
 訊くと、今までとは違い、ひとつひとつ明確に言葉にしてくれた。
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