光のもとでⅠ
 彼女は唇をきゅ、と引き結び、自分の気持ちを呑みこんだ。
 その場にはほかの生徒もいて、長時間の休憩を取ることが彼女の本意ではなく、本当はみんなと作業をしていたいのだと知るのには十分だった。
 誰ともなく、「姫休んでおいでよ」「休んだ分がんばってもらうからね」――そんな言葉がところどころからかけられたものの、彼女はそれらに一言も答えず、振り向きもせず、目に涙を溜めたままこの部屋に入った。
 彼女にしてみたら「悔しい」の一言なのだろう。
 もしくは、「情けない」か「どうして自分だけが……」かな。
 彼女がみんなと同じように行動できたらどんな顔をして笑うのだろうか……。
 今、どれほど悔しい思いをして心の中ではどんな思いが渦巻いているのだろうか……。
 色々考えてみるものの、俺はここで休憩してくれる現状に救われている。
 この時間がなければ、俺は彼女と顔を合わせる機会が作れず、精神的に病んでいたかもしれない。
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